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   外反母趾           河北新報「診察室」2003・5・14掲載分
           
               薬物や装具でも治療可能/足に合った靴を履く

質問:数年前から、足の指が外反母趾(がいはんぼし)ぎみで痛くて困っています。原因はくつなのでしょうか。手術でもとに戻す方法はあるのでしょうか。〔40代・女性〕

◆外反母趾の女性が多いようですが。

 この疾患は、足の親指の先が外側、小指のほうに曲がり、親指の付け根の関節部分が内側に突出、変形してくる進行性の疾患です。そのため靴で長く歩くと、親指の内側や足の裏に痛みを感じます。親指の曲がりがひどくなると、痛くて歩くのが困難になります。特に親指付け根の関節の内側が、赤く腫れてバニオンという骨性のこぶが形成されると、靴に当たる痛みが強くなって、靴を履くのが難しくなります。
外反母趾かどうかは、足の親指が外側に向いている、親指の付け根が出っ張っているなど、自分でもチェックできますが、変形が軽度の場合は自分では気がつかない場合もあります。親指が根元の関節で曲がった角度(外反母趾角)が、15度以上あると確実に外反母趾と分かります。女性に圧倒的に多く、最近では中、高校生の患者もいます。

◆何が原因ですか。

 足の関節が柔らかい、筋肉、靭帯(じんたい)が弱いなど女性の体質や、親指が隣りの第二指より長くて靴に強く押され、外反母趾になりやすいなど、足の指の形態によることもありますが、最も大きい原因は、足に合わない靴を使っていることです。
 特にハイヒールや先細の、自分の足に合っていない靴を無理に履いていると、外反母趾を起こします。先細の靴は、前足部の指の先端が入る部分が狭く、かかとが高いと足が前に滑り、体重が足先に強くかかります。また足先が靴で内側から外側に押し付けられ続け、外反が起きます。

◆症状が進むとどうなりますか。

 親指以外にも症状が進んできます。親指が隣りの第二指を押すことで、次々押され曲がっていきます。小指だけは内側に曲がり、内反小指の状態になります。また親指が次の指の下に入り込むと、第二〜四指が「へ」の字型になり、靴の甲に触り痛みます。
 中年になると、前足部の横のアーチがつぶれ、横に広がる開帳足になります。
縦のアーチが壊れると偏平足になり、痛みが足の裏のほうにも広がります。関節や靭帯が弱くなる上に、体重が増えるためです。

◆治療について

まず変形の原因になった靴を変えます。これだけでかなり楽になるはずですが、不十分な場合には薬を使う薬物療法や、装具療法などの保存的治療を行います。外反変形がひどく、靴が履けないような重症例では、手術が必要です。親指の手前の中足骨を切って、向きを直す手術を行いますが、治療期間がかかります。

◆アドバイスは

質問の方も外反母趾になっているのか、またどの程度なのか、整形外科の専門医師に診てもらいましょう。一般的なアドバイスとしては、靴先の内側がしぼられた靴は避け、足に合った靴を選ぶこと。通勤時と職場で靴を履き替えるのも予防になります。靴を脱いだ後に、指の運動をする(足の指でグーパーを繰り返す)のも大事です。若いうちから外反母趾にならないように、もっと足と履く靴に気を配り、予防を心がけましょう。
                                          担当 登米 祐也

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