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   外骨腫でなやみ           河北新報「診察室」2002・8・14掲載分
           
               増大、痛み考慮し手術/骨の表面にきのこ状の腫瘤

質問:11歳の娘のことでお聞きします。左膝(ひざ)関節近くの内側に、こぶのようなのが出ているのに気づきました。外骨腫と診断されましたが、外骨腫とはなんですか。手術の必要はありますか。〔40代・女性〕

◆どんな病気ですか。

外骨腫は、骨にできる良性腫瘍(よう)の一つです。良性の骨腫瘍の中では最も多く、良性骨腫瘍の半数が外骨腫です。
外骨腫は、骨の表面が飛び出すように盛り上がり、キノコ状の腫瘤を形成します。この腫瘤が皮膚の上から硬いしこりとして触れます。腫瘤の先端部には軟骨組織でできた軟骨帽と呼ばれる部分があり、この部分が骨を作ることにより徐々に大きくなっていきます。  
好発部位は頸(けい)骨、大腿(たい)骨、上腕骨、ひ骨などの長管骨で膝関節や肩関節の近くに見られます。単発性のものと多発性のものがありますが、多くは単発性です。単発性のものは遺伝することが知られています。

◆若年層に多いそうですが。

初診時年齢は10代が最も多く半数を占めます。外骨腫は骨が成長している間は大きくなることが多いので、成長期に発見されることが大部分です。
また、この病気は無症状のことが多いので腫瘤が小さいうちは気がつかないことが多く、打撲などのケガの際にエックス線写真を撮って偶然発見されることも少なくありません。あるていど大きくなれば皮膚の表面から硬いしこりを触れることもできます。腫瘍ができる場所によっては痛みの関節の動きが悪くなる、関節が変形するなどの症状が出ることもあります。

◆原因はなんですか。

発生原因はまだ解明されていません。骨の両端近くには骨の長さの成長にかかわる骨端成長軟骨板(骨端線)があります。骨端線の軟骨が骨を作ることによって骨が長くなる仕組みになっています。骨端線が閉鎖すると成長も止まります。外骨腫はこの骨端線の近くに好発します。また軟骨帽を持ち骨端部の構造と似ています。さらに成長が止まると腫瘍の増大もなくなります。これらのことから骨端線が外骨腫の発生に関与しているのではないかと考えられています。
 
◆治療はどのようになりますか。

腫瘍をとり除く手術をすることになります。しかし腫瘍が小さく、症状もほとんど無く、急速な増大のないものは定期的に経過観察をすることになります。 目安は
@腫瘤が急速に大きくなり、エックス線像からも悪性の疑いがある
A腫瘍の増大に伴う神経などの圧迫による疼(とう)痛や麻痺(まひ)がある
B関節の強い変形、関節の動きが制限されている
C腫瘤が目立ち美容上問題がある・・・などがあります。
手術は軟骨帽とともに腫瘍を基底部から十分に切除します。軟骨帽を残すと再発する可能性があります。特に多発性の外骨腫はまれに悪性化することが知られています。

◆アドバイスをお願いします

娘さんは単発性の外骨腫でしょう。腫瘤の大きさがどの程度なのか、関節などへの影響があるのかわかりませんが、早期に整形外科医に相談してください。 
手術を受ける際には本人を交えて医師の説明をよく聞き、納得のうえ適当な時期に受けてください。                            担当  登米 祐也