トップページへ
   半月板損傷           河北新報「診察室」2004・7・5掲載分
           
               膝関節の動きに影響/負荷かけず筋力強化を

質問:2年前、サッカーで右足の半月板を損傷し、手術しました。最近、特に激しい運動をしたわけでもないのに同じ箇所が痛みます。〔20代・男性〕

◆半月板損傷とは。

 半月板は膝関節(しつかんせつ)を構成する大腿(だいたい)骨と脛骨(けいこつ)の間にある線維軟骨でできた板状の組織です。内側と外側それぞれの関節面にあり、関節面にかかる荷重を均等に分散したり、大腿骨と脛骨の安定性を確保するなどの重要な働きをしています。
 この半月板に傷が入った状態を半月板損傷と呼びます。半月板が損傷すると、膝の痛みや腫れが出現し、関節の中に関節液や血液がたまることもあります。 膝関節がある角度から動かなくなってしまうこともあります。

◆負傷の原因は。

 バスケットボールやサッカーなどのスポーツ中のケガによるものが多く、10代、20代の若者に多いのが特徴です。高齢者では関節軟骨の変性(変形性膝関節症)により半月板の損傷が生じることがあります。
 靭帯(じんたい)損傷の後で膝の不安定性が起こったのが原因で、だいぶ時期がたってから半月板が損傷することがあります。あぐらからの急な立ち上がりなどの不用意な日常動作でも起こることがあり、注意が必要です。生まれつき半月版が正常より大きく、傷がつきやすい状態(円盤状半月)をしているために、明らかな外傷が無くとも断裂を生じることがあります。

◆治療法は。

 保存的療法と手術療法があります。保存的治療は膝関節を2、3週程度固定し、その後、自動運動から徐々に運動療法を開始します。手術療法は半月板の縫合術と切除術があり、最近ではほとんどが内視鏡下で手術を行います。断裂が半月板の外側に近い場合は縫合が可能ですが、その他の場合は切除術を行います。
 重傷時と同じ動作を避けることはもちろんですが、階段を下り場合なども負荷をかけすぎないように注意が必要です。大腿四頭筋を強化することはとても重要です。半月板の手術を受けた方は、残った半月板や関節軟骨への負担がおおきくなるので、とくに筋肉強化が必要です。

                                          担当 登米 祐也