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   踵骨棘           河北新報「診察室」2003・11・19掲載分
           
               踵に痛みを感じる/突起状の骨が原因で発症

質問:朝起きると踵(かかと)に鈍痛を感じます。つま先立ちで歩くなどしているうちに、痛みは軽くなりますが、違和感が残ります。偏平足気味で、知人から踵骨棘(しょうこつきょく)の話を聞きました。病気について詳しく教えてください。
〔40代・男性〕

◆症状などを教えてください。

 踵骨棘は踵の骨の足底側にできる突起状の骨で、正常な骨には見られません。踵骨には足の指を動かす筋肉と、その筋肉を包む筋膜がついています。この筋膜は土踏まず(内側縦アーチ)の形を維持する役割を持っています。アーチを崩すような力を過剰に加えると、筋膜が強く引っ張られ、骨棘が作られます。
 ハイヒールのように踵に衝撃のかかりやすい靴や、つま先と踵の2点だけに力が集中する靴を履いてたくさん歩くと、発症しやすくなります。
 踵の痛みは、骨の両側が痛い場合と、足の裏側に痛みを感じる場合があります。
 裏側の痛みの多くは踵骨棘と関係しています。骨棘はできただけでは痛みはなく、周囲に炎症がおきると痛みが出現します。裸足で家の中を歩くとあまり感じませんが、靴を履いて歩くと、踵に鋭い痛みを感じます。夕方になると強まる傾向があるようです。

◆どういった治療法がとられますか。

 一度できた骨棘はなくなりませんが、炎症が取れれば痛みはなくなります。治療法としては、炎症を取るための塗り薬を使ったり、患部を温める温熱療法が行われたりします。
靴の交換も有効です。靴の大きさや形が足に合わないために痛みが出ている場合が多く、この場合、靴を換えるだけでだいぶ痛みが改善します。
 靴を換えられない場合、土踏まずを持ち上げるアーチサポートのついた中敷を、靴の中に入れるのも有効です。中敷は一般の靴店で入手できます。こうした対策によって、痛みは数日から一週間ほどで軽減します。


◆予防法など注意点はありますか。。

 足に合った歩きやすい靴を履くのが大切です。体重が足の裏全体に分散してかかる靴を選びましょう。最近の運動靴は、初めからアーチサポートが入っているものが多いので、そうした靴を選ぶのもいいでしょう。
 長距離を歩いたり、長い時間立ち続けたりするのが分かっているときは、運動靴を履くようにすると痛みが出にくくなります。偏平足の人は力が分散しにくく、余計に注意が必要です。
 普段から足の指を動かす練習をするのも大事です。足の指を曲げたり伸ばしたり、すぼめたり開いたりする運動をしてください。足の中にある筋肉(足内筋)が強化され、足の形を正常に保ちやすくなります。足の裏の痛みは、踵骨棘以外でも起きる場合もあり、まず整形外科を受診して相談してください。          担当 登米 祐也