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   手根管症候群           河北新報「診察室」2004・2・23掲載分
           
               夜強まる指のしびれ/手術で神経圧迫開放も

質問:指から肘(ひじ)にかけて、しびれるような疲れを感じ、物が持ちづらい状態が続いています。知人から手根管(しゅこんかん)症候群ではないかと言われ、治すのには手術が必要と言われましたが。〔40代・女性〕

◆手の神経の障害ですか。。

 手の神経は、頚椎(けいつい)から指先に至るまでに、長く複雑なコースをたどっています。手根幹はその経路の一部で、手根管と厚い横(おう)手根靭帯(じんたい)でできているトンネルです。手関節の手のひら側にあります。管の中を柔らかい正中神経と、9本の指屈筋腱(けん)が通っています。この手根管部に異常が生じると、正中神経が圧迫されて、手のしびれなどの麻痺(まひ)症状が出現します。これが手根管症候群です。

◆原因はなんですか。

@手根管内の屈筋腱の腱=(しょう)炎
A手根部の骨折脱臼などの外傷
B脂肪腫などの腫瘍
C糖尿病など全身性疾患
D妊娠・出産期、更年期の体調変化
E手を頻繁に使う職業の人・・・などがあげられています。

◆症状の出方は。

 親指、人差し指、中指のしびれ、手のこわばりと、夜間に痛みが強くなるのが特徴です。起床時に親指、人差し指、手関節部に強い痛みも感じます。両手に起こることもあります。症状が進行すると、手指の知覚鈍麻が生じます。長期になると、親指の根本の筋肉(母指球筋)がやせて、ふくらみが平らになり、細かいものが持ちづらくなります。

◆治療について

 保存療法は、装具固定による手関節の安静、ビタミンE、B12の服用や、ステロイド剤の局所注射などがあります。保存療法を3ヶ月程度行い、母指球筋萎縮や感覚異常などが改善されない場合は、手術をします。横手根靭帯を切離、神経の圧迫を開放します。内視鏡による鏡視下手根幹開放術の行われています。まずお近くの整形外科を受診し、相談してみてください。
                                     担当  登米 祐也